鞠−マリイロ−色の都

オリジ小説、二次創作(一般向け)、偶にイラスト等を主とする、純ヲタクな学生のブログ。只今更新停止中。オリジナルのジャンルは、学園ギャグ、ファンタジー等。

第2花 柔道少女

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その女子高生こと、水無由夜(ユヤ)は体育館へと向かっていた。
扉の前に立ち、控えめにノックして、しばらく待つ。すると、胴着をまとった一人の女子がでてきた。

「どちら様で…って、由夜じゃん!」

藍堂遼子(リョウコ)は手を合わせ、嬉しそうに笑った。彼女は由夜の唯一無二の親友で、柔道部員でもある。今度大会に出場するんだ、と照れたように語っていた。

「前に言ったオススメの洋服店、今日バーゲンなんだ。
だから出来れば一緒に帰りたいと思って。1人じゃどうせつまらないから」

由夜は顔にも声にも感情をこめず、淡々と語る。これは男の場合のみというわけではなく、女相手もこんな感じだ。細かく言えば、男の場合より女の場合の方が、口調と雰囲気が幾分柔らかい。

「ん〜…今丁度キリがいいからね〜…もしかしたら帰れるかも。部長に聞いてくるからちょっと待ってて」

と言うなり、彼女は体育館へと戻ってしまった。

由夜は手持ち無沙汰になったので、鞄から本を出して、読み始める。無論その間にも、誰かから聞いたのか、柔道部員男子の何人かがこそこそ、由夜の顔を覗きに来ていた。

しばらくすると遼子は戻ってきたが、先手とは打って変わって、複雑な表情だった。
よからぬ雰囲気を読み取って、す、と目を据わらせる。

「何て言われたの」
「え…OKはもらったんだけどね…その…」
「いいから答えて」

まるで自分が悪いことでもしてしまったかのように、遼子はぎゅ、と目を瞑って、言った。

「由夜を抱きしめさせろ…て」
「―――そう」

予想に反して淡々とした声だったので、驚いて顔を上げると、由夜は遼子の横を通り過ぎた後だった。

「由夜?!」

体育館の中へとどんどん歩んでいく背に声を投げるが、反応はない。
遼子は慌てて、由夜を追った。
由夜は迷いのない足取りで、部長へ歩み寄っていく。
彼の顔は彼女を見つけた途端、ぱあっと輝いた。

「おお!水無君ではないか!わが願いを聞き届けてくれたのだね!
いざかわそうではないか!熱い抱擁を―――
ぶぼっ???!」

―――ゴッ!!!―――

漏れ出た声と鈍い声が重なり、部長の体は宙を舞った。
そして顔面から激しい音を立てて落ちる。その際鼻血も出た。

由夜はあごを蹴り上げた足を降ろすと、置いておいたかばんを拾って、そして呟いた。

「男ってほんと下劣… 遼子、帰るよ」

と言い残して、さっさと去って行った。


「…ぶ、部長…?」

柔道部員が心配そうに覗き込むと、部長は少し咳き込む。そして彼は上の空で、やたら恍惚とした笑みを浮かべながら、呟いた。

「…け、蹴り上げる姿もまた美しいぞ水無君…」

そういい残すと、彼はかくんと意識を失った。

“やっぱあみだで決めた部長だから幸うす…”

と思いながら、柔道部員は叫んだ。

「部長―――――!!!!」

その騒動の隙に、遼子は苦笑しながらも、由夜の後を追った。

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第1花 男嫌いの少女

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邪魔なのではないか、と思わず心配してしまうほど長いまつげ。髪は淡く茶色に染められており、わずかに波を打っている。眉は優美な弧を描き、白い肌はきめが細かく、化粧を施していないのに唇は桃色に染まり、頬も桃色。唇にも肌にもそのほかの部分にも、荒れというものは存在していなかった。
散逸した紙や教科書を集める指はすらりと伸びており、爪もまた桃色で、通った鼻梁。ウエストは細く、体のバランスは恐ろしいほどに整っている。正に非の打ち所のない体というべきであろう。

俗に言う、一目ぼれである。

ぼーっと見惚れているうちに、彼女は裾を払って立ち上がり、自分の手からむしりとるようにノートや下敷きを奪った。

「…あ…」

下から睨まれる瞳にこめられているのは、憎悪、軽蔑、怨念。
見られたら誰もが戦慄するような瞳だ。
ここではっきりとわかったことは、自分は彼女に良い感情を持たれていないことである。むしろ悪い感情だ。

“何で―――?”

悪いことでもしたかとうろたえている隙に、彼女はさっさと去ってしまった。
その立ち去る姿も、また美しい。顔がほころんでしまう。
満ちる幸福感に身を委ねていると、後ろから声がかけられた。


「よ」

振り返ると同時に眼に入った、自分の同じ造作の顔の少年は、にぃ、と笑って手を挙げた。
名は氷上景(ヒカミケイ)。自分と違うのは、彼が短髪であることと、内から溢れるような軽妙さや明るさだ。自分はポニーテールだし、軽妙というより、優男、という雰囲気が溢れている。
つまり、のほほんとしているのだ。

「どーした?零(レイ)」

景は零の顔を覗き込んだ。そして何かを見ていることに気がつき、視線を辿り、あの女子高生の姿に気がつくと何度かしばたき、口を半開きにした。

「・・・ほれちったのか・・・?・・・アレ・・・に・・・」

顔色で一目で見破った景は、蒼ざめながらひどく言いにくそうに言う。それに相反して、零はまだ幸福感に浸っていた。

「…うん…」

まぶしいばかりの笑顔に、景は顔を手で埋めた。

「おにーちゃんは悲しいぞ!お前がそんなに道を踏み外していたなんて、気付かなかった!!」
「え?僕道踏み外していないけど。何で?」

きょとん、と聞き返す零に、景は、コンクリートの校舎の壁に頭をぶつけた。痛みに頭を抱えながらも、口を開く。

「…だ、だよな…知ってたらフツーほれねぇよな…」
「何を?」

なおもきょとん、として聞く零に、ホントにこいつはオレの弟か、といらいらしながら叫んだ。

「あいつはすんげー男嫌いなんだよ!!!」







…。







!!!!!!!!





「え―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――??!」

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始まりの花

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「んっ!」
「あっ!」

どん、と勢いよく同校の女子生徒とぶつかった。無論自分は、好んでぶつかったわけではない。まわりの同校生徒達の行き交いがすごすぎて、前から来た生徒をよけようとしたら、右から来たこの女子高生とぶつかってしまったのだ。

「あっ…」

ばさばさという音を立てて、女子高生のかばんから、教科書やらノートやらなにやらが落ちる。慌ててかばんを肩から降ろし下に置いて、蹲って拾う女子高生を手伝う。謝らなきゃ、と顔を上げ、彼女の顔を見た瞬間、体が硬直するのを感じた。
これが俗に言う、目を奪われた、というやつなのだろうか。

このとき初めて、彼は一目ぼれというものを経験した。

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プロフィール

Author:透雫
ロックオン、欅くん、泉孝介、サルドニュクスは我が心の夫。
マンガ、小説、ゲーム(一部)はバッチコイ。歴史は戦国〜安土桃山、最近はWW?、?に熱中。

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