鞠−マリイロ−色の都

オリジ小説、二次創作(一般向け)、偶にイラスト等を主とする、純ヲタクな学生のブログ。只今更新停止中。オリジナルのジャンルは、学園ギャグ、ファンタジー等。

RPG26

RPG(仮)

下に降りると左手のほうに部屋があった。
―――あそこからご飯の匂いがする。いやしかし、食堂じゃなかったりとか全然違ったりしたらどうしよう、と恐る恐る近付いてみると部屋から出ようとしていたラルシャと鉢合わせした。
ラルシャはキョウの顔を見て微笑む。
「ん、大分良くなったわね。ご飯はあそこに置いてあるから」
「わかった。あ、このタオル、助かった」
「あぁ、はいはい」
キョウの手からタオルを取ると、走るようにして階段を上がり去って行った。どうかしたのだろうか。
部屋に入り、ラルシャが指差していた方向を見ると、確かにご飯があった。おいしそうだ。お腹の空き具合も限界である。こんな時間までご飯を食べていなかったのだから当たり前なのだが。
―――にしても、2セットあるのだろう。両方自分のものか?いや、両方同じメニューだし、量も違う。
しばし悩んだ揚句、量の多いほうを戴くことにした。

たくさんの椅子と机が部屋に並べられている間を縫うように進み、キョウは窓際の席に座る。
カーテンは全て開け放たれていて、視界いっぱいに広がっている。雲は薄くたなびいていて、とても綺麗だ。
濁ったものが澄んでいくような心持ちで眺めながら咀嚼していると、廊下のほうから軽い足音が聞こえた。入って来たのは小さな姿。
「あ、キョウさん!」
アルフは嬉々としてもう一つのご飯セットを手に、キョウの前の席に座る。あぁ、あれはアルフの食事だったのか。道理で量が少ないわけだ。
「私が言うのも何だが、アルフが食べるのは何でこんなに遅いんだ?」
キョウが目覚めたのは昼前だったが、顔を冷やしながらごろごろしている内に昼はとうに過ぎてしまっていたのだ。うぅむ、何と言うアホさ加減。
アルフは口に含んだものを飲み込んで言う。
「大量の仕事を部下に押し付けてしまっていたんで、少し片付けてきたんです。そうしたらいつの間にか遅くなっちゃって…」
押し付けることになったのは、自分のせいだろう。
皆に迷惑をかけて、心配もさせて―――。そもそも、ここにいることさえ自分のせいだというのに。
「本当に、済まない………」
アルフはやんわりと、暖かい笑みを向ける。
「キョウさんは気にしなくていいんですよ。僕がもう少し手際が良ければ済む話なんです。それじゃ、僕はそろそろ失礼しますね」
アルフは食べ終わった食器を持って、部屋の隅にあった窓口に出す。そこから女の顔が覗いて、食器を奥に持って行った。そうか、食べ終わったらあそこに出せばいいのか。
部屋が途端に静かになった。だが穏やかで、心地よい雰囲気だ。
キョウはまだ、あと少しこの雰囲気に浸っていたくて、そっと目を伏せた。

ルザリオは食堂から離れたところにある廊下を歩いていた。足はいつもより忍び足で、目を左右にくまなく動かしている。手にはローディオールからの手紙。思わず握る力が強くなる。
もうすぐ玄関だ。あと少し、その角さえ曲がれば―――。
「どうかしたんですか、ルザリオさん?」
「っ……!」
角を右折した途端、ひょっこり顔を覗かせたのはアルフだった。にこにこ笑うアルフの奥にはラルシャだった。こちらは逆に厳しい表情である。きつい目でルザリオを睨んでいる。
「……別に、何でもねぇよ」
「そうですか。じゃあ、その手に握っているのは何ですか?」
ぎょっと目を見開いて慌てて手を後ろに回した。まさか、このことを―――。
「いや、これは……」
何とか言い訳しようとするルザリオに、アルフは畳み掛ける。
「あ、しらばっくれても無駄ですよ?失礼を承知でルザリオさんの部屋に入らせて戴きました。ついでにコピーも。駄目ですよ?部屋の戸締まりはちゃんとしないと」
アルフは手紙をコピーしたものを翳す。
部屋の鍵は閉めて出たはずだ。記憶も鮮明である。
ラルシャか?いや、あいつは自分と一緒に食事を取っていた。と、いうことは―――。
恐ろしさに思わず笑みが漏れる。
「―――お前の子飼いのやつか?」
「えへへ、企業秘密です♪」
アルフは笑んだままだ。それとは裏腹に纏う雰囲気には突き刺すような鋭さがあった。こちらが圧倒されているのがはっきりと感じる。
ルザリオは肩を竦めて、ため息をつく。アルフには勝てない、勝てる気がしなかった。
「わかった。お前の察し通り、ローディオールのところへ行こうとした。これでいいか?」
「はい、大丈夫です」
ルザリオはすっと目を細めてアルフを凝視する。
「にしても、俺は味方だってのに油断も隙もねぇな。絶対敵に回したくねぇぜ」
「最高の褒め言葉、ありがとうございます♪」
満面の笑みを浮かべるアルフに、ルザリオは言葉をなくして、肩を落とし、脱力した。
アルフは続ける。
「ルザリオさんがどうしようと勝手ですが、こういう団体行動の時は皆さんを巻き込まないで下さい。―――あなたは先程、まさに”飛んで火に入る夏の虫”を実行しようとしていた」
返す言葉もない。俯いたまま続きを促す。
「とりあえず、今は相手の動向を窺うべきです。―――でも」
アルフは優しく微笑む。
「そんなに行きたいなら行っても構わないと思います」
ルザリオは驚いて顔を上げた。絶対反対されると思ったからだ。
「ただし、ラルシャも連れていって下さい。そうすれば何かあった時、対応出来ますから」
「…わかった」
アルフの言うことはもっともだ。一人でいたら怪我してしまうと何も出来ないが、二人でいたら何とかなる。
「じゃ、行きましょ」
アルフに見送られながら、ラルシャの言葉に従って外に出た。

「ねぇ」
ラルシャはルザリオに話し掛ける。
目的地へ魔法を使って移動せず、徒歩で行くことにした。ここからそこまで距離はないし、転送し終わった瞬間を攻撃されたら防ぎようがないからだ。
「ルザリオがローディオールに聞きたいことって何なの?」
ルザリオの表情が険しくなる。遠くを見つめるように、眉間に皺を寄せた。
「あぁ、それは―――。ミルダがどこに行ったか、知ってるか?」
「ミルダって、ローディオールのお母さんのこと?」
ルザリオの父親の愛人でもある、ミルダ。
ラルシャはあまり接点がなかったので覚えていないが、綺麗な人、という印象は残っている。そしていつも息子・ローディオールと一緒にいた。
無理もないが、彼女はルザリオの母親である正妻に嫌われており、同時に一族中も畏敬の念を向けられていた。一族の者ではない者と関係を結び、あまつさえ子供を産んでしまうなど有り得なかったのだ。だが表立って不満を言わなかったのは、ルールを犯した張本人が一族の長だったから。彼がいいと言えばそれに従わなければならない、それもまたルール。
とはいえ、ミルダとルザリオの父親との仲が特別良かったわけでもないようだ。実際、彼は正妻のミルダへの陰湿な虐めを見てみぬ振りをしていた。
あるとき、唐突に彼女はローディオールと共に姿を消した。理由はわからない。即捜索することになったが、あの事件が起こりそうもいかなくなった。
ルザリオが先代の王の元へ連れていかれ、彼の両親が死に、国から追われる立場になり―――。
生きるか死ぬかの瀬戸際だったからミルダのことなど頭から抜けていたが、彼女がどうかしたのだろうか。
「ミルダさんが、何か?」
「あいつ―――先代のところにいた」
ラルシャは思わず目を見開く。
「まさか、そんなわけ―――」
「いたんだ。俺は見た。処刑場の前で、先代の横に立って」
心身ボロボロで連れ戻されていく時、ふと顔を上げると、目が合った。声には出さなかったが、笑って、こう口を形作ったのだ。
ざ、ま、あ、み、ろ、と。
「あと、あいつが消えてからすぐだったよな、俺が連れていかれたのは」
ラルシャの顔が次第に引き攣っていく。
「え、じゃあ、もしかしてミルダさんが…?」
あの悲惨で、悲しい事件を起こした―――?
「それを確かめに行くんだ。あいつなら全部知っている―――ローディオールなら」

<続>

***あとがき***
テストの鬱憤の勢いで1日で書いたよ。ミスあったらすまんよ。
予想以上に長くなったよ。申し訳ありませぬ。つまんないものですが、少しでも楽しんでいけたら幸いです。話は少しは進んだつもりです多分(自信ない)
ではー

 

コメント

コメントを投稿


管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック

TB*URL

オリジ小説、二次創作(一般向け)、偶にイラスト等を主とする、純ヲタクな学生のブログ。只今更新停止中。オリジナルのジャンルは、学園ギャグ、ファンタジー等。

プロフィール

Author:透雫
ロックオン、欅くん、泉孝介、サルドニュクスは我が心の夫。
マンガ、小説、ゲーム(一部)はバッチコイ。歴史は戦国〜安土桃山、最近はWW?、?に熱中。

■アンケート■
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
クリックプリーズ♪

にほんブログ村 小説ブログへ 一日一回ポチリとよろしくお願いしますw

リンク
メールフォーム

FC2カウンター

Copyright ©鞠−マリイロ−色の都. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha.
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ 専門学校